全試合結果
回戦 | 日程 会場 |
試合 |
---|---|---|
決勝 | 8/29 明石 |
あべの翔学 3-4 中京 レポート (中京は3年ぶり11回目の優勝) |
準決勝 | 8/28 明石 |
倉敷工 6-13 あべの翔学 レポート |
8/28 明石 |
三浦学苑 0-2 中京 レポート | |
2回戦 | 8/26 姫路 |
倉敷工 9-4 津久見 レポート |
8/26 明石 |
作新学院 0-1 あべの翔学 | |
8/26 姫路 |
鹿児島実 1-8 三浦学苑 レポート | |
8/26 明石 |
上田西 0-5 中京 | |
1回戦 | 8/25 明石 |
北海道科学大高 2-6 鹿児島実 |
8/25 明石 |
三浦学苑 6-1 松山商 | |
8/25 姫路 |
上田西 4-3 広島学院 レポート | |
8/25 姫路 |
中京 4-1 比叡山 レポート | |
8/24 明石 |
早大学院 0-4 倉敷工 | |
8/24 明石 |
専大北上 1-5 津久見 | |
8/24 姫路 |
作新学院 3-1 報徳学園 レポート | |
8/24 姫路 |
能代 1-3 あべの翔学 レポート |
天候による順延はなく、すべての試合が日程どおりに消化された。
15試合中、1点差ゲームは3試合(前回5)、延長戦はゼロ(第56回大会以来11年ぶり)で、得点差が開くゲームが多かった。「1-0」の試合は2回戦の作新学院 – あべの翔学の1試合だけだった。
いずれかのチームが5得点以上した試合は7試合で約半数を占めた。準決勝の倉敷工 – あべの翔学(6-13)は、1試合の両チーム最多得点記録を31年ぶりに更新した。
2試合以上戦ったチームで、一人の投手が完投したのは作新学院のみ。優勝した中京、ベスト4の三浦学苑など、複数の主力級の投手を擁したチームが上位進出を果たした。
最多投球数はあべの翔学・下前の26・2/3イニング(3試合先発完投)の448球。決勝戦では9回2死までに193球を投じた。
中京が全国最多11回目の優勝
東海代表の中京が、第62回大会から5大会連続(中止の第65回大会を挟む)で決勝戦に進出(史上初)。
昨年、作新学院に並ばれた全国優勝回数を1つ積み上げて、単独最多となる11回目の優勝を果たした。
今年のチームも走攻守において、隙がなかった。
エラーは4試合を通して1つだけ。背番号1の谷本と4の松井、2人の投手がそれぞれの役目を全うした。決勝戦では3回表に早くも、谷本から松井に継投すると、あべの翔学打線を1失点に封じて、優勝を引き寄せた。
攻撃では15打数8安打と大会を通して打ちまくった藤村を筆頭に、準決勝・決勝で復調した伊佐次や、内野安打を量産した松井、1回戦の比叡山戦で決勝打を放った荒井らの活躍が光った。
また2回戦、準決勝で見せた3つの本盗での得点は、これまでのセオリーを覆す新しい戦い方として、多くのファンに衝撃を与えた。
あべの翔学が2回目の出場で初の決勝戦に進出
大阪代表のあべの翔学が出場2回目にして、決勝戦に進出した。
前回、初出場の第64回大会ではベスト4入り。
今大会は初戦で能代、2回戦では昨夏の覇者で、今大会の優勝候補と目された作新学院を1-0で下した。
準決勝の倉敷工戦では13得点という展開もあったが、予選から見せた接戦をしぶとくものにする野球は、全国でも健在だった。
前年のチームからバッテリーを組んだ下前 – 寺前を中心に、守備は鍛えられていた。1回戦・能代戦8回の一打同点のピンチでのショート澤井猛の超ファインプレーや、決勝戦・4回のセンター久禮のダイビングキャッチなど、プレッシャーのかかる場面での堅い守備は、まさに練習量の賜物だった。
「1-0至上主義」は過去のもの?
3年ぶりの全国選手権を観戦してとくに感じたことが、全国で勝ち抜くには、これまで以上に複数点を取る力が必要になってきたのではないか、ということだ。
軟式野球は長らく「点が入りづらい競技」と言われ続けてきた。力があるチーム同士の試合ともなれば、1-0、2-1といった最少得点で勝敗が決することがほとんど。
観戦者はともすれば「1-0こそ至高」「点が入る試合はレベルが低い」という考えに陥りがちだった。
しかし今大会は、1-0の試合は2回戦・作新学院 – あべの翔学の1試合のみ。もちろん、大会の競技レベルが極端に低下したとは感じなかった。
1-0ゲームの減少について、考えられる理由には
- 複数投手の登板が当たり前になった
→圧倒的な力がある投手がいたとしても、大会を一人で投げ切ることが減った - 高度な技術、知識が手に入りやすい環境になった/コロナ禍で個人で取り組みやすい打撃練習の時間が増えた
→打者の技術が向上した - 得点の方法が多様化、開発された
→「叩きのみ」の時代から、戦術が増えたことで、得点の確率が上がった - M号球による影響が表れ始めた
などが挙げられるだろうか。
いずれにせよ1-0、2-1のようなゲームは、今後は減っていく可能性が高いと考えられる。
プレーするチームはより引き出しを増やし、多くの得点を獲る力・競り勝つ力が、また、観戦者にも「1-0至上主義」に陥ることなく、目の前の高校軟式野球を楽しむことを求められているのかもしれない。
(参考)第51回大会以降の決勝戦のスコアと大会総得点数の推移
大会 | 決勝スコア | 全国選手権 総得点数 |
---|---|---|
第67回 (2022) |
中京 4-3 あべの翔学 | 101 |
第66回 (2021) |
作新学院 1-0 中京 | 79 |
第64回 (2019) |
中京 5-2 崇徳 | 69 |
第63回 (2018) |
中京院中京 3-0 河南 | 72 |
第62回 (2017) |
中京院中京 1-0 茗溪学園 | 56 |
第61回 (2016) |
天理 5-0 早大学院 | 63 |
第60回 (2015) |
作新学院 2-0 能代 | 56 |
第59回 (2014) |
中京 2-0 三浦学苑 | 63 |
第58回 (2013) |
横浜修悠館 3-2 新田 | 56 |
第57回 (2012) |
中京 2-1 文徳 | 66 |
第56回 (2011) |
中京 2-1 作新学院 | 73 |
第55回 (2010) |
能代 2-1 新田 | 63 |
第54回 (2009) |
作新学院 3-1 名城大附 | 62 |
第53回 (2008) |
作新学院 5-1 中京 ※再試合 (作新学院 1-1 中京) |
79 |
第52回 (2007) |
新見 3-0 富山商 | 76 |
第51回 (2006) |
作新学院 1-0 中京 | 64 |
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