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あべの翔学vs中京|第67回全国高校軟式野球選手権大会 決勝

レポート
2022/08/29
明石トーカロ球場
第67回全国高校軟式野球選手権大会 決勝 

中京がサヨナラ勝ちで、3年ぶり11回目の大優勝旗を手にした。

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中京の先発は、前日の準決勝で8イニングを投げた谷本。

2回、2死二、三塁であべの翔学・下前に左超三塁打を放たれ、2点の先行を許す(あべの翔学 2-0 中京)。

3回、谷本が先頭打者へ1球目を投げたタイミングで、セカンドを守る松井へ継投。

4回の攻撃、1死満塁で、3回からセカンドの守備に入った酒井が右ゴロを放ち、点差を1点に縮める(あべの翔学 2-1 中京)。

7回、2つの四球と内野安打で1死満塁とし、荒井が押し出し四球を選んで同点、さらに嶌田の遊ゴロの間に勝ち越しのランナーが生還する(あべの翔学 2-3 中京)。

しかし8回、松井はこのイニング3つの四球を許し、再び同点に追いつかれる(あべの翔学 3-3 中京)。

決勝戦としては9年ぶりの延長戦も見え始めた9回。

一死から荒井が右安打で出塁すると、嶌田の内野ゴロで進塁。2死二塁で大会を通じて好調を維持した藤村が放った打球は、左中間を破り、二塁走者の荒井がホームイン。

2022年の夏は、劇的な幕切れで、中京が3年ぶり11回目の優勝を決めた。

※S数、S%は目安。公式記録ではありません。

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両チームヒットは7本、エラーゼロ。好プレーには好プレーで返す、正に一進一退の攻防。最後までどちらに勝利が転がり込むのかわからない、決勝戦に相応しい好ゲームだった。

あべの翔学は準決勝で登板を回避したエースの下前が満を持して先発のマウンドに。6回以外、毎回走者を出す苦しい投球だったが要所を締め、先発の責任をまっとうした。

序盤から粘る中京打線に球数を費やされ、疲れが色濃くなった7回に3つの四球で押し出しを与えると、9回、193球目を相手の好打者に仕留められた。

昨年の選手権も下前 – 寺前のバッテリーで挑んだが、大阪大会2回戦で敗れた。秋は近畿大会を初制覇するも、春の近畿では準決勝で天理に完敗。全国では目標にした天理との再戦は叶わなかったが、2回戦で前回優勝の作新学院を下すと、この試合でも、ギリギリまで王者を苦しめた。

試合前に、要監督は「何も言うことはない。とにかく、楽しんで、お前たちの野球をやってくれ」と選手たちを送り出した。その言葉どおり、あべ翔らしい勢いのある野球で、ファンの心を揺さぶった。

2点の先行を許した中京に、焦りはなかった。伊藤、上田を中心に、各打者が追い込まれてからも、簡単に打ち取られることなく、10の四死球を選んだ。

3回にリリーフした松井が優勝を引き寄せた。エース谷本がベンチに下がり、自分しかいないという覚悟が決まったか。

テンポの良い投球で、ヒットこそ許すも、決定機をつくらせず。8回、球数が100球に近づき、さすがに疲れが見えたが、同点後の2死満塁の場面では、気迫で下前から三振を奪った。

サヨナラ打を放った藤村は全国4試合で15打数8安打の大活躍。「苦しいときも自分にできることを積み重ねることで乗り越えられた」と振り返った苦労人が、最後の大仕事をやってのけた。

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