佐藤薬品スタジアム
第68回全国高校軟式野球選手権近畿大会 決勝
3年連続の顔合わせは天理が比叡山にタイブレークで勝利。5年ぶりに近畿の王座を奪還した。
昨年に続いて天理・木村、比叡山・宮川、両エースが先発のマウンドに。
昨年より一回り大きくなった木村から繰り出される投球には力強さが増し、初回から毎回走者を許すものの、決定機を作らせず。
4回裏、2本のヒットで2死二、三塁となった場面も、一邪飛を山尾が好捕してピンチを切り抜ける。
天理も初回から毎回、先頭打者が出塁して先制の機会を伺うと、4回表、森田が右方向に放ち、相手のライトがダイビングキャッチを試みて後逸する間に、一気に本塁を狙うが、ここはタッチアウト。
しかし続く5回表、今度は先頭の小原が放った打球を、相手センターが処理しきれずに後逸し、三塁へ(記録は三塁打)。1死後に尾﨑の三ゴロで小原が生還し、天理が待望の先制点を上げる(天理 1-0 比叡山)。
リードをもらった木村は5、6、7回とパーフェクトピッチング。しかし、勝利が見え始めた8回裏、1死から連打を浴びて二、三塁とされると、3番津田に初球を完ぺきにサードへ叩かれ、同点に追いつかれる(天理 1-1 比叡山)。
試合は9回で決着がつかず、延長タイブレークに。
10回表、天理は犠打で1死二、三塁とすると、スクイズを試みた小原に対して宮川が外したボールが暴投になり、三走が生還(天理 2-1 比叡山)。
10回裏、犠打と申告敬遠で1死満塁。比叡山・村田をレフトへの浅めの飛球に打ち取ると、思い切ってタッチアップを試みた三走に対して、好返球でタッチアウト。
比叡山の反撃を封じた天理が、5年ぶり17回目の全国選手権出場を決めた。
昨年は1年生ながらエースとしてチームを全国に導いた宮川。
この日は、毎回、先頭打者に出塁を許す苦しい投球だったが、走者を許してからが宮川の真骨頂。簡単には先制点を与えなかった。
昨年とは違い、1点を追って後半に入る展開。それでも終盤にかけてさらにギアを入れ替え、7回は圧巻の三者連続三振。攻撃陣に勢いをつけ、延長戦に持ち込んだが、10回のこの日唯一の暴投が、決勝点となってしまった。
22年秋、23年春とともに近畿大会準優勝(秋春は大阪、兵庫勢を含む)。三連覇が有力視され、追われる立場となったこの夏、秋・春に続いて「最後の1勝」を掴み取ることができなかった。
天理にとっては、長くて苦しい5年間だった。
第63回大会(2018)で全国ベスト4、翌年は前年から主力だったエースの別所や真野(現同志社大)らを擁すも、近畿決勝で敗退。
コロナを経て、第66回、第67回と春の近畿王者として臨んだ2年はこの日対戦した比叡山を前に屈した。
今年のチームは秋も春も近畿を勝ち抜くことはできなかった。
それでも、最後の最後で大きな結果を残してみせた。会場に駆けつけた大勢のファン、関係者とともに、久しぶりに歓喜の瞬間を分かち合った。
2023年夏、天理が明石に帰ってくる。
※球数、S数、S%は目安。公式記録ではありません。
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