明石トーカロ球場
第69回全国高校軟式野球選手権大会 決勝
中京が仙台商を2-0で下して、3年連続13回目の全国制覇を果たした。
中京は前日の準決勝に続いて、エースの川口が先発。
1回戦、準決勝は制球に苦しんだ川口だが、この日は立ち上がりから抜群の安定感を見せる。最初の打者一巡はパーフェクトピッチングでチームに勢いをつける。
中京は3回裏、内野安打と四球で1死2、3塁をつくると、準決勝で活躍してこの日もスタメンに抜擢された1番垣内が投前に叩きを決めて、先制に成功(仙台商 0-1 中京)。
さらに4回には先頭の西尾がヒットで出塁。盗塁と進塁打で1死3塁として、田口がきっちりとファーストに転がして1点を追加する(仙台商 0-2 中京)。
2点のリードをもらった川口は5回表には先頭から2者連続で安打を浴び1死2、3塁とされるも、投ゴロ、三邪飛に封じてピンチを切り抜ける。
しかし中京は6回途中からマウンドに上がった仙台商エースの佐々木に完璧に封じられ、8回まで1人の走者も出せず、2点リードのまま最終回へ。
2死1塁で投ゴロが悪送球となり同点の走者を許したが、最後の打者を遊ゴロに打ち取って、試合終了。中京が史上初の2度目の大会三連覇を達成した。
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仙台商は背番号9の楠本が先発。6回からエースの佐々木が継投して、前日の準決勝で15安打19得点を上げていた中京打線を、わずか2安打に封じた。
昨日、能代は立ち上がりに中京打線の重圧に飲み込まれたが、この日の楠本は2回を6人で片付け、最高のスタートを切った。
6回1死で継投したエースの佐々木にいたっては、8回まで打者8人に対して、1人も出塁を許さなかった。
攻撃陣は2点を追う5回に1死2、3塁と同点のチャンスをつくったものの、あと1本が出なかった。最終回も同点の走者を出して最後まで諦めないプレーを見せてくれた。この大舞台で最後まで王者と互角にわたりあった。
第64回大会(2019)まで6年連続で全国に出場していた東北の常勝軍団は、5年間、全国から遠ざかり、今年、久しぶりに聖地へと帰ってきた。そして、その6年でなし遂げられなかった、27年ぶりの決勝進出という大記録を果たした。
中京のエース川口がこの夏最後の試合で、1回戦、準決勝の乗り切れなさを払拭する「100点」のピッチングをした。1回戦は10の四死球を与え苦しんだが、準決勝は3、そしてこの試合はわずかに1と、大会を通して本来の投球を取り戻した。
5回、最終回と同点のピンチを迎えたが、今大会、ここまで無失策の守備を信じて投げ抜き、粘る仙台商を0で封じて、三連覇を引き寄せた。
中京の2得点はいずれもヒットで出塁した先頭打者を叩きで返した。昨年は強打で打ち勝った中京だが、今年はこの決勝を含めて、分厚い攻撃力は維持しながらも、チームの原点に帰るかのように精度の高い叩きが印象的だった。決勝の最後で失策を1つ記録したものの、準決勝までは無失策で勝ち上がったことからも、この1年の選手たちの精神的な成長を感じた。
硬式・軟式を通じて、初の2度目の三連覇を果たした中京。コロナ禍を挟んだ第66回大会では達成できなかった、大会4連覇という偉業に再び挑戦する1年が始まる。
※球数、S数、S%は目安。公式記録ではありません。
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