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【観戦レポ】興國vs浪速 第62回全国高校軟式野球選手権大阪大会準決勝

レポート
2017/08/03
住之江公園野球場
第62回全国高校軟式野球選手権大阪大会 準決勝

昨年の夏は決勝まで勝ち上がるも、河南に敗れ、あと一歩のところで全国選手権出場を逃した興國。はともに2回戦で敗退しているが、この夏は1、2回戦で大勝すると、3回戦では長尾を下して準決勝まで進んできた。

対する浪速は2年前の大阪代表校。は興國と同じく2回戦で敗退しているが、夏に照準を合わせてしっかりと勝ち上がってきた。

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試合は両エースによる最高の立ち上がりで幕を開ける。

浪速サウスポーエースの出口が二者連続三振で勢いをつけると、興國の山品も負けじと初回を三人で打ち取る。

あまりにも完璧な両投手の投球に「後半勝負になるか」と思われた4回、突如として試合が動く。

4回表の興國の攻撃。それまで打者9人に4三振とこれ以上ないピッチングをみせていた浪速の出口が先頭に死球を許すと、2番大内がレフトへチーム初安打を放ちチャンスを広げる。続く玉井が投手前に犠打を試みると、投手前に転がったボールを捕球した出口が一塁へ送球するも、味方のベースカバーが遅れ、ボールがライトへ転がる間に二塁走者が一気に生還。守備の連携ミスにより興國が先制点を上げる。

出口はその後、なんとか2アウト目をとるが、北村にこの回2つ目の死球を与え、二死満塁としたところで浪速ベンチは早めの決断。出口に代えて同じくサウスポーの三好をマウンドに上げる。三好は後続を内野ゴロで打ち取り、浪速は最少失点でこの回を切り抜ける。

早く同点に追いつきたい浪速だったが、興國エースの山品の力のある投球をとらえることができない。4回からマウンドに上った浪速の三好も、毎回走者を許しながらも、粘りの投球で興國に追加点を与えない。6回には初めてヒットを放たれるが我慢の投球で後続を断つ。結局、この日の三好は興國打線をこのヒット一本に抑える力投だった。

中盤から終盤にかけても全く勢いが落ちない興國の山品。浪速に与えられた反撃に機会も徐々に少なくなっていく。粘る2年生投手を援護できないまま最終回の攻撃を迎える。

住吉公園野球場のスコアボードにはヒット数の表示がない。しかし、これまでの山品の完璧な投球と、9回の浪速の攻撃が7番打者から始まるということで、スコアなどつけていなくともその事実に誰もが気づいていた。

あと3人で完全試合ー。

浪速7番中野が三振で倒れ、1アウト。いよいよその時が近づく。そんな球場全体のソワソワした雰囲気を打ち破ったのが8番上宮だった。レフト線へ放った打球がフェアゾーンに落ちると、上宮は一気に二塁へ。続く代打石田が三塁線へ絶妙なバントを転がすと内野安打となり、一転して浪速がサヨナラのチャンスを迎える。

しかし、9回一死まで浪速打線をパーフェクトに抑えた山品はこの場面も落ち着いていた。1番畑中を投ゴロに打ち取り二死とすると、続く今田を三振で切ってゲームセット。興國が粘る浪速を下して、2年連続の決勝に進んだ。

2年生投手三好の救援と最終回の土壇場で見せ場をつくった浪速だが、先発出口の降板は無念だった。4回の先頭に許した死球、その1球がこの試合の流れを変えてしまった。打者15人で準決勝のマウンドを後にしたエースナンバーが、再び決勝で同じマウンドに上がることは叶わなかった。

勝った興國は山品の投球が全てだった。4回以降、エースに追加点を援護したかった打線は沈黙した。あすの決勝も1点を争う試合になることが予想されるが、攻撃陣がPL学園相手にどこまで奮起できるか。第2回大会(1957)で大阪から初めて全国選手権に出場した古豪は46年ぶり全国返り咲きを狙う。

興國 000 100 000丨0
浪速 000 000 000丨0

(興)山品 – 高村
(浪)出口、三好 – 渡邊

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