コラム

高校軟式野球でも「延長10回からタイブレーク」スタートへ

高校軟式野球 延長15回 コラム

日本高野連は2日、理事会を開催し、来春の第95回選抜大会(硬式)から、既存のタイブレーク制度を延長10回からのスタートに変更することを決議しました。

この決定は軟式野球でも適用される見込みで、春の都道府県大会、または選手権大会から採用されることが予想されます。

タイブレーク、10回から実施へ

これまでの制度では、延長12回を終えて同点の場合、13回からタイブレークが開始されていました。

今回の決定により、さらに3イニング前倒しされ、延長戦に入ると同時にタイブレークがスタートします。

目的は試合時間の短縮による選手の負担軽減で、2021年の「500球制限」、2022年の「継続試合」に続く、高校野球の健康面での改革です。

社会人野球(都市対抗野球)、明治神宮大会(硬式)、国体(硬式/軟式)などでは、すでに延長10回からのタイブレークが行われています。

そもそもなぜ13回からだった?
いきなりタイブレークで決めるのではなく「最低でも打者一巡は通常の打順で試合を行わせてあげたい」という配慮があった、という説があります。

また、2024年度から硬式では金属バットの新基準が導入されます(いわゆる「飛ばないバット」)。

膠着した試合により延長の機会が増えることが予想されることも、今回の決定を後押しした可能性が高いです。

高校軟式野球とタイブレーク

高校軟式野球におけるタイブレークの変遷は以下のとおり。

  • 2013年:東京国体で9回終了同点時の扱いを、抽選→タイブレーク制(10回から)に移行
  • 2014年:第59回全国選手権 準決勝で延長50回
  • 2015年:第60回全国選手権 タイブレークを採用(決勝除く)
    (同大会準決勝の上田西 – 能代で初適用)
  • 2018年:硬式が選抜大会でタイブレークを導入
  • 2021年:夏の全国選手権(硬式/軟式)決勝もタイブレークを採用

軟式においては、社会現象となった「延長50回」の翌年に、早くもタイブレーク制度がスタートしました。硬式よりも3年早い導入でした。

また2021年には硬式/軟式ともに全国選手権大会の決勝でもタイブレークを適用することとなり、高校野球の公式戦では、事実上、延長戦による「引き分け」がなくなりました。

高校軟式野球におけるタイブレークの現状

2015年から8年間(2020年は中止)の軟式の全国選手権大会105試合で、延長戦に入った例は以下の16試合(15.2%)。

内、9試合がタイブレークにもつれ込みました。


大会
回戦
カード
9回
終了時
10回〜
13回からTB
2015
第60回
準決勝
能代 – 上田西
0-0 000 12|3
000 10|1
2016
第61回
1回戦
作新学院 – 報徳学園
0-0 000 1|1
000 0|0
1回戦
拓殖大紅陵 – 柳井商工
3-3 000|3
001x|4
1回戦
能代 – 天理
2-2 000 00|2
000 01x|3
2回戦
天理 – 桜丘
4-4 000 1|5
000 0|4
2回戦
登別明日 – 上田西
1-1 000|1
001x|2
準決勝
上田西 – 天理
0-0 0|0
1x|1
2017
第62回
1回戦
崇徳 – 早大学院
0-0 000|0
001x|1
1回戦
篠山鳳鳴 – 木更津総合
0-0 000 4|4
000 3|3
準決勝
中京院中京 – 登別明日
0-0 02|2
00|0
2018
第63回
1回戦
篠山鳳鳴 – 能代
1-1 000 1|2
000 0|1
1回戦
開新 – 慶応
1-1 0|1
1x|2
1回戦
天理 – 仙台商
0-0 000 003|3
000 001|1
2019
第64回
1回戦
仙台商 – 神戸村野工
0-0 0|0
1x|1
2021
第66回
1回戦
神戸村野工 – 能代
0-0 000 0|0
000 1x|1
2回戦
浜田 – 松商学園
0-0 000 12|3
000 10|1
  • 全16試合中、タイブレークに入ったのは9試合(56%)
  • 9試合中5試合が13回、3試合が14回、1試合が15回で決着
  • 0-0で延長に入った10試合中6試合がそのままタイブレーク
  • タイブレークは先攻チームの7勝2敗

上記のようなデータが見て取れます。

ちなみに硬式は、春夏通じてタイブレークが適用された試合は5試合です(2022年夏季大会終了時点)。

即タイブレークで高校軟式はどう変わる?

実力校同士の対戦になるほど、得点機会が減り、延長戦に入る確率が高い軟式野球では、全国、地方大会ともに、タイブレークが適用される試合が増えることは間違いないでしょう。

では、タイブレークが増えることによって、高校軟式はどのように変わっていくのでしょうか。

  • 試合結果に今以上に「運」要素が占める割合が高くなる
    実力では劣るチームが強豪校を下す確率が高まる
    全国出場校の多様化につながる?
  • 試合序盤からリスクを冒して点を取りにいくチームが増える
    →結果的に軟式の代名詞である「0-0」の試合が減る
  • タイブレークを見据えた試合後半の選手交代が見られるようになる
    →「タイブレーク要員」という新しい役割が生まれる?
    ベンチ入りできるメンバーが増える

個人的には競技性が変わるくらいのインパクトがある出来事だと考えます。

ここ数年、増加傾向にあった高校軟式野球における得点数がさらに増え、よりアグレッシブな攻撃、戦術が見られるようになるかもしれません。

また試合の勝敗に「運」が占める割合が高まることにより、これまでの「既定路線」とは異なった結果がもたらされる確率も高まると予想されます。

結果的に固定化した全国選手権出場校が流動的になり、活性化につながるかもしれません。全国の活動校にとって、明石へのチャンスは「広がった」と見るのが妥当でしょうか。

今回の改革によって高校軟式野球が変わるのか。こればかりは、やってみなければわかりません。

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