今津スタジアム
平成28年度秋季近畿地区高校軟式野球大会 1回戦
今年の夏の全国選手権に大阪府代表として出場した河南。
明石で行われた1回戦では仙台商を前に苦汁をなめたが、その試合のスターティング・ラインナップに二人の2年生が名を連ねていた。
2番センター 淸島
7番キャッチャー 峯上
主要なポジションであるセンターラインに入った二人の下級生は全国のレベルをその肌で感じた。キャッチャーの峯上に至っては大阪大会を無失点で勝ち上がった大会屈指の右腕上野の女房役として、最後までその速球を受け続けた。
あの夢舞台から2ヶ月。
河南のエースナンバーは淸島が受け継いだ。全国を経験した二人がバッテリーを組んだ河南は、他のチームより1ヶ月も新チームの始動が遅れる中で大阪府大会を準優勝、近畿大会に進出した。
先制はその淸島の立ち上がりを攻めた瀬田工だった。
制球が定まらない淸島は四球とヒット、味方のエラーでいきなり一死満塁のピンチを招く。二死とするも6番大塚に四球を与え痛恨の押し出しで先制点を献上する。
2回以降は投球のリズムをつくると、さすがは全国出場チームのセンターを任されていた淸島。持ち前の地肩の強い右腕から投じられる速球が走り、堂々としたマウンド捌きで瀬田工打線を仕留めていく。
河南打線は3回表、二死から2番井筒がセンター前ヒットで出塁する盗塁で二死二塁。3番木本もセンターに弾き返し井筒が生還。連打で同点に追いつく。
中盤は淸島の安定した投球で試合を優位に進めた河南は6回表、先頭の3番木本、4番峯上の連打と四球で無死満塁とすると、一死後に7番宇地井のライト前で2人が生還し河南が3-1と逆転に成功する。しかし後続が続かずに瀬田工を引き離すことが出来ないと、河南にとっては悪夢の7回を迎えることになる。
瀬田工の先頭にサードエラーで出塁を許すと、犠打の処理ミス、四球、再びの内野エラーで二人が還り同点に、なおも死球、内野ゴロなどで2点を追加し瀬田工が打者一巡ノーヒットであっさりと逆転する。
7回の守備をなんとか乗り切った河南。8回に淸島が意地のライト前で4-5と1点差に迫り、最終回の攻撃を迎えるも、二死一塁から代打塔本が倒れゲームセット。
地元滋賀県代表の瀬田工が秋季大阪大会2位の河南を下し、2回戦で待つ天理への挑戦権を得た。
勝利した瀬田工には心から敬意を表したい。その上で、河南には厳しい言葉になるかもしれないが、この試合、自滅したそのチームからは、筆者が知っている「河南らしさ」が完全に影を潜めていた。
味方のエラーと自らのミスでピンチを広げてしまったマウンドの淸島。こんな時、全国の舞台に立った一学年上のチームは悪い流れを声やプレーで断ち切ることができる選手が何人もいた。それこそが河南の野球の真骨頂だと感じていた。しかし、この日の、7回裏の河南には、そんな選手がいなかった。傷口はみるみる間に広がり、気づいたときには既に遅かった。
主将の仲野など全国チームでベンチ入りを果たし、先輩のプレーを間近で見てきた選手は他にもいる。それらの選手が中心となり、春、そして夏に向けていかに「河南らしさ」を追求できるか。
準備期間の浅い新チームと一学年上の熟成したチームを比較することは酷だったかもしれない。しかし、一学年上のチームはこの秋の大会、大阪府4位だったことを考えると、このチームに実力と可能性は十分にあると言えるだろう。一冬超えたチームがどんな野球を見せてくれるのか楽しみだ。
もちろんそのチームの中心には明石で悔し涙を流した淸島がいて、峯上がいるだろう。
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