レポート近畿

【観戦レポ】飾磨工(兵庫1位) – 向陽(和歌山)平成28年度秋季近畿地区高校軟式野球大会2回戦

レポート
2016/11/03
今津スタジアム
平成28年度秋季近畿地区高校軟式野球大会 2回戦

過去7度全国選手権に出場経験のある古豪飾磨工も秋の県大会を制したのは初めて。県大会ブロック予選では夏の全国選手権に出場した報徳学園と対戦、延長14回タイブレークを制した粘りがある。

対する和歌山代表の向陽が秋季県大会を制したのは実に20年ぶり。近年の和歌山は長崎国体(2014年)を制した南部と今夏の県大会を制している新宮の活躍が著しいが、今秋の県大会でその両校を破り宿願を果たした。

この試合、両校とも県大会優勝校に相応しい見ごたえのある展開が繰り広げられた。

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飾磨工の大嶋、向陽の森脇と先発のマウンドに上った両エースは、立ち上がりから上々の投球を見せる。大嶋が初回を淡々と3人で抑えると、森脇も飾磨工3番小寺澤を三振に切って取る。

飾磨工は2回裏、相手エラーと内野安打で一死一、二塁のチャンスを作るも、7番大嶋が4-6-3のダブルプレーに倒れる。

すると向陽は3回表、二死一、二塁から3番に入った森脇がセンター前に弾き返し、二走が生還、向陽が先制に成功する。

先制点を自らのバットで奪取した向陽森脇はピッチングに拍車が掛かる。飾磨工の淡白な攻撃にも助けられ、次々とアウトカウントを重ねていく。飾磨工打線は森脇に対し、3回から6回まで3人で攻撃を終える。

先制を許した飾磨工大嶋も緩急織り交ぜた投球で向陽に決定的なチャンスを作らせないまま試合は終盤に差し掛かる。

1-0のまま迎えた7回裏の飾磨工の攻撃。二死三塁で5番増田がショートへの強襲を放ち同点に追いつくと、更に二死二塁として6番矢野がレフト前に運び二走の増田が生還。この回、飾磨工が4本のヒットを集中させ一気に試合をひっくり返す。

しかし向陽も簡単に引き下がらない。8回表、先頭の9番薮下が三塁線を破って出塁、1番北地が内野安打で続くと、一死二、三塁で打席には3番森脇。ショートへ高く弾む内野安打を放ち2-2の同点に追いつく。なおも一死一、三塁と逆転にチャンスも4番池尾、5番池田が続けずこの回は同点止まり。

同点のまま試合は9回裏飾磨工の攻撃に入る。一死から3番小寺澤が放ったサードゴロがエラーとなり出塁すると、ワイルドピッチで二塁へ、4番小谷がレフト前に放ち一死二、三塁のサヨナラの場面を作る。

打席にはこの日1安打1打点の5番主将増田。ここで増田は相手の意表を突くスクイズを敢行。ボールを捌いた相手二塁手がホームへ送球しクロスプレーとなる。相手捕手のタッチをかいくぐった三走小寺澤が生還。飾磨工が3-2で向陽に劇的なサヨナラ勝ちを収め、準決勝に進出した。

飾磨工主将増田がスクイズで試合を決めた。この試合を通して守備位置のレフトから人一倍大きな声でナインを鼓舞し続けた増田は、7回の同点打、そして9回のサヨナラスクイズと好機で勝負強さを発揮し、主将の名に恥じない活躍ぶりだった。メンバー表を見る限り、飾磨工のベンチ入りは12人。少数精鋭を頼れる主将が束ね上げ、近畿4強まで上り詰めた。

最終回の向陽の2つのエラーが飾磨工にサヨナラ勝利をもたらす結果となった。

この試合、筆者にとっては両チームとも初見で、事前の情報も全くなかった中で、試合前ノックで勢いを感じたのは飾磨工だった。全員の技術レベルの高さに驚いた。対する向陽の試合前ノックにはミスが目立った。近畿初戦という固さもあったのかもしれないが「大事な場面でミスが出なければいいが」という懸念が現実となった。

しかし南部、新宮を下しての近畿大会出場の実力は本物だ。来年、両校は「打倒向陽」で向かってくるだろう。和歌山の高校軟式はここ数年、全国でも通用する高いレベルが保たれている。参加校は決して多くなく、毎回連合チームが出場するという環境下ではあるものの、好敵手同士が互いに切磋琢磨し合っているこの状況、関係性は非常に恵まれているのではないか。次の春、そして夏はどのチームが近畿まで上がってくるのか。今から楽しみでならない。

向陽(和歌山)
001 000 010丨2
000 000 021X丨3
飾磨工(兵庫)

(向)森脇ー中平
(飾)大嶋ー小谷

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