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【南部vs天理】天理が逆転で三連覇達成 16度目の全国選手権へ 第63回全国高校軟式野球選手権近畿大会 決勝

レポート
2018/08/04
太陽が丘野球場
第63回全国高校軟式野球選手権近畿大会 決勝

2年前の全国の覇者・天理。昨夏は1回戦で後に準優勝した茗溪学園に敗れて全国連覇はならなかった。しかし新チームとなった秋以降、公式戦は無敗。秋、春と近畿大会を優勝、3年連続の明石に万全の準備でこの夏を迎えた。県大会決勝では先の春の近畿大会決勝で対戦した奈良育英に3-1で勝利、前日の近畿大会1回戦では、昨年の近畿大会決勝で延長11回の接戦を演じた立命館と再戦、4-0で完勝して、三連覇まであと一勝に迫った。

南部は第59回大会(2014)以来、4年ぶりの全国選手権出場を目指し、ここまで勝ち上がってきた。昨夏も近畿大会まで勝ち進むも、1回戦で立命館に敗退。秋は県大会1回戦で向陽に敗れるが、春はその向陽に競り勝って近畿大会に出場。初戦で兵庫の芦屋学園に快勝して4強入りを果たし自信をつけた。この夏は県大会決勝で三度目の向陽との対戦を制し、近畿大会1回戦では比叡山を降して、全国が見える場所までやってきた。

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天理の先発は県大会から全試合で登板してきた2年生エースの別所。全身を使って力のある速球を投げ込む。初回は打者3人を簡単に打ち取り上々の立ち上がり。2回表には先頭の南部4番片山にライト頭上を超すエンタイトルツーベースを放たれ一死3塁のピンチを迎えるが、後続を三振、センターフライに抑える。

南部の先発宮本は変化球を織り交ぜ打たせてとる投球に徹する。3回裏、別所にこの日初のヒットを許すと、内野安打、犠打で一死2、3塁とされるが、2つの外野フライで先制を許さない。以後も、毎回走者を背負う我慢の投球が続く。5回は2つの四球で一死2、3塁とまたしてもピンチを迎える。ここで天理2番山尾がセーフティスクイズを試みるが、三走がスタートを切れずに三本間で挟まれてタッチアウト。ここも宮本が粘り勝ち、簡単に得点を与えない。

早いテンポで進んだ試合。近畿大会決勝戦は過去2年、延長戦にもつれ込む接戦となっている。今年もそんな雰囲気が漂い始めた7回に試合を動かしたのは南部だった。二死2塁、打席の5番坂口が放った打球はレフト線を切り裂き、二走が悠々と生還。南部がついに別所を捉え、ディフェンディング・チャンピオンからリードを奪う。

天理に残されたイニングは3回。7回裏は3人で簡単に打ち取られ、いよいよ南部の4年ぶりの優勝が視野に入ってきた。しかし、ここで簡単に終わらないのが天理。2年連続の全国選手権出場、新チーム負け無しの真価はが窮地で発揮される。

8回裏、天理は先頭の山尾が四球を選ぶと果敢にスチール。送って一死3塁で4番塚本。センターに放った大きな打球は犠牲フライには十分。三走山尾が生還し1-1の同点に。さらに真野がセンター前ヒットで出塁、二盗で一気に逆転のチャンスをつくると、6番島田が左中間に痛烈に弾き返して、二走が逆転のホームイン。天理が終盤の鮮やかな逆転劇で一転リードして最終回の守備につく。

3連覇の重圧がかかる最終回のマウンド。しかし2年生で天理のエースを任された別所はたくましかった。エラーで出塁を許すも、最後のバッターを一塁ゴロに押さえて、高々と両手を上げる。天理が3年連続16度目の全国選手権出場を決めた。

南部
000 000 100│1
000 000 02X│2
天理

南)宮本 – 坂本
天)別所 – 井筒一

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今春の近畿大会2回戦、PL学園戦も観戦したが、別所の安定感はこの試合でも光った。積極的な打撃が持ち味の南部打線を4安打に抑えた。7回に失点した場面も、後続を確実に打ち取り最小失点で切り抜け、チームの逆転を信じた。決勝点のホームを踏んだ真野、勝ち越しタイムリーを放った島田と、頼もしい下級生たちが勝利に大きく貢献。全国選手権でも臆することなく、その堂々としたプレーを見せてほしい。

南部は4年ぶりの全国選手権まであと一歩届かなかった。7回に先制点を奪い、天理をギリギリのところまで追い詰めたが、実力・経験ともに勝る王者を上回ることは簡単ではなかった。エースの宮本は再三迎えたピンチを、粘り強く凌いだ。4番片山、先制タイムリーを放った5番坂口とクリーンナップは迫力があった。南部の宮本、坂本バッテリーも2年生。この悔しさは1年後に晴らすしかない。二人を中心に再び明石を目指したチームづくりが始まる。

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