富田林バファローズスタジアム
平成30年度春季近畿地区高校軟式野球大会2回戦
昨秋の近畿大会決勝カードが、互いにこの春の近畿大会初戦となる2回戦で早くも再現した。
天理vsPL学園。
秋は天理がPL学園に5-0で完勝、2年連続で秋の頂点に立った。さらに時間を巻き戻せば、両校は昨夏の全国選手権に出場するも、ともに初戦で敗退。今年は全国の舞台に帰ることはもちろんのこと、さらに昨年は果たせなかった上位進出が期待される。この夏を占う注目の一戦は予想通り1点を争う試合となる。
PL学園は秋には背番号1を付け、この春は8番を付けるサウスポーの岩下が先発。初回、自らの牽制悪送球などで3塁に走者を背負うも、ここは4番塚本をショートゴロに抑えると、以後はとにかくテンポ良くキャッチャーの相曽のミットめがけ左腕を振り抜く。
天理先発のエース別所は小柄ながら全身を大きく使ったフォームで力のあるストレートを投げ込む。初回は2本のヒットで二死1、2塁とするも無失点で切り抜け、3回に四球で出した走者を最後に、その後はPL学園に出塁すら許さない圧巻の投球。
天理打線は4回表、2本のヒットで一死1、3塁とし、5番真野が一塁方向へ痛烈な打球を放つが、ファースト正面でゲッツー。5回表は二死1、3塁をつくるもあと一本が出ず。6回表にも3番井筒一がヒットで出塁するもショートライナーで帰塁できずダブルプレーとなり、力投する別所を援護できない。
天理は7回表にも二死3塁で得点できず。8回表は一死から連打で二死1、2塁をつくると、4番塚本がライトへ弾いて二走がホームに突入。しかしここもPL学園ライト谷口からの好返球でタッチアウト。PL学園の鍛えられた守備はそう簡単には崩せない。
幾度となくピンチを切り抜けたPL学園だったが、打線は天理別所の前に沈黙。4回裏に殿納が放ったヒットを最後に塁上に走者を置くことができない。この大会では延長10回からすぐにタイブレーク制度が適用される。その旨が場内アナウンスで伝えられた直後の9回表、試合が動く。
天理は一死から6番古川がレフトオーバーのツーベースを放ち出塁。ここで代走に起用された山尾が間髪入れずに三塁を陥れると、7番島田がピッチャー前に高く弾むゴロを放つ。PL学園岩下がホームへ転送するもランナーは生還。天理がヒット、盗塁、叩きと華麗な一連の攻撃で遂に均衡を破る。
この日の別所にリードは1点で十分だった。その裏のPL学園の攻撃も3人で締めゲームセット。90分で終わった投手戦は天理が昨秋の近畿決勝に続いてPL学園を降し、あすの準決勝へ進出した。
天理
000 000 001│1
000 000 000│0
PL学園
天)別所 – 井筒一
P)岩下 – 相曽
天理のエース別所は9回を投げて打者30人、被安打3、四球1とPL打線を完全に封じた。打線は運に見放されたところもあったが、9回はツーベースから三盗と思い切った攻撃が実った。PL学園も8安打を浴びながら粘る岩下に早く1点を、と意気込むも、守備で掴みかけた流れを攻撃に繋げることができなかった。
秋、春と両者の対戦は天理の2勝で終わった。この両者の”3度目の対戦”が実現する条件は一つしかない。天理、PL学園がともに全国選手権に出場した上で、一勝以上することだ(例年のレギュレーションでは、全国選手権の初戦で大阪代表と近畿代表が1回戦で対戦することはない)。昨年、両チームが果たせなかった全国での勝利という最低条件を達成したとき、天理には最後の決着をつける、PL学園には3度目の雪辱を果たす最後の機会が与えられる条件は整う。
しかし天理はその前に、この春の大会を最後まで勝ち抜き、2ヶ月を切った選手権予選に満を持して臨みたいところ。あす、準決勝で神港学園と対戦する。