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【観戦レポ】法政二(神奈川1位)- 作新学院(栃木1位) 第65回春季関東地区高校軟式野球大会 準決勝

レポート
2017/06/04
高崎市城南野球場
第65回春季関東地区高校軟式野球大会 準決勝

その脅威の粘りはどこからくるのだろうか。

逆転の法二。秋からこの春にかけて見せた法政二の戦いぶりを一言で表現するのに、これ以上相応しい言葉はない。軟式では追いつくことが困難だと思われるような点差でも、ここぞとみるや集中打で一気に逆転する。秋の関東大会では2回戦の早大学院戦、そして決勝の作新学院戦、この春も県大会決勝の慶應義塾戦、そして前日の2回戦も太田(群馬2位)に3点を先行されながらも7回に一気に試合を引っくり返した。

秋の関東では決勝で、その法政二に敗れた作新学院。この春は関東1回戦の市川(千葉2位)戦、2回戦の前橋(群馬3位)戦と、快勝とは言えないまでも勝負強く勝ち上がってきた。得点圏の走者を確実に返して試合を優位に進めたい。

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試合開始直後から目まぐるしく動く試合展開を誰が予想できただろう。

作新学院は初回、二死3塁で4番神成がサードの頭上を襲うレフトへのツーベースヒットで先制する。

1点を先行された法政二は2回、一死から阿部がチーム初ヒットを放つと、八方もライトに続き一死1、3塁。蔵地のショートゴロの間に三走阿部が好走で生還し同点に追いつく。1-1。更に一死満塁と攻め立てるが勝ち越し点は奪えない。

同点に追いつかれた直後の3回表の作新学院は先頭の半田がヒットで出塁、二死2、3塁で神成が放った打球はセンターに抜けると思われたが、法政二ショートの中泉が横っ飛びでつかみ1塁へ送球。しかし1塁はセーフでこの間に三走が生還、二走も一気にホームへ突入するが、ここはファーストが落ち着いてホームへ転送しタッチアウト。2-1、作新学院がリード。

その裏の法政二は、先程好捕した中泉がライトへのツーベースで出塁。一死1、3塁とし阿部が放ったセンターへの飛球でタッチアップ。中泉が生還し、すぐさま法政二が2-2の同点に追いつく。

またも追いつかれた作新学院は4回表。2本のヒットと死球で一死満塁。ここで半田が2打席連続のヒットをライトへ運び三走が生還、3-2。二走もホームを狙うが好返球でタッチアウト。しかし、二死2、3塁で1番新井がレフトへ運んで更に1点を追加。4-2。

作新学院が2点のリードを奪って以降は両エースによる投げ合いとなる。法政二岸は5回以降、作新学院にヒットを与えず、許した走者も6回のエラーによる一人のみ。

対する作新学院の池田も5回にヒットを1本浴びたのみ。危なげない投球で2点のリードを守り抜く。
試合は4-2のまま法政二の最後の攻撃へ。しかし、法政二がこのまま終わるはずがない。
一死後、代打がライト前へ運んで出塁、更に続く岸がレフト前に落として同点のランナーが出塁する。”流れ”が完全に法政二の側へ切り替わる。そう、これがこれまで何度も見せてきた法政二の野球であり、こうして何度も逆転劇を演じてきたのだ。

この緊張感に多くの相手投手が飲み込まれ、そして逆転を許してきた。
しかし、この日の作新学院の池田は違った。櫻井を三振に切って二死とすると、鈴木をセカンドゴロに打ち取る。セカンドが二塁ベースに転送し、ゲームセット。作新学院が粘る法政二を下して決勝進出を決めた。逆転の法二というシナリオは、作新学院のエースによって書き換えられた。

2試合を1試合に凝縮したような、前半と後半とでは別の試合を見ているような、そんな錯覚に陥る試合だった。序盤の取ったら取り返す激しい展開と、中盤以降の両エースによる息の詰まる投げ合い。法政二岸は打者36人、安打7、死球1、三振5。作新学院池田は打者37人、安打7、四球1、三振5。投手の成績だけを見れば、この試合の結果がどちらに転んでもおかしくなかったと言える。

作新学院は秋に敗れた相手に雪辱を果たした。あすの決勝で慶應義塾と対戦、2014年秋以来の関東頂点を目指す。

法政二の2回の攻撃。同点とし、更に一死満塁と作新学院を攻め立てた場面。ここは逆転とはならなかったが、法政二の一気呵成にたたみかける野球が顔を覗かせた。球場全体の雰囲気が変わった。これだ、と肌で感じた瞬間だった。
新チーム発足から続いた公式戦の連勝もついに止まった。そしてやってくる夏はどのような結末が待っているのか。一つだけ言えることは、ことしの神奈川も例年に漏れず”激戦区”に相応しい戦いが繰り広げられることは確かだということだ。

作新学院
101 200 000丨4
011 000 00X丨2
法政二

(作)池田 – 阿久津
(法)岸 – 八方

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