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【観戦レポ】新宮ー比叡山 天理ー龍谷大平安 第61回全国高校軟式野球選手権 近畿大会1回戦(準決勝)

レポート
2016/08/02
佐藤薬品スタジアム(奈良)
第61回全国高校軟式野球選手権 近畿大会 1回戦(準決勝)
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1回戦(準決勝)新宮(和歌山) – 比叡山(滋賀)

秋、春に続き和歌山大会を制し近畿大会に勝ち上がってきた新宮。春の近畿大会では準決勝まで進出、優勝した天理(奈良)との対戦では、6回まで天理打線を0に押さえたものの、終盤、立て続けに得点を許し4-0で敗戦(レポートはこちら)、2ヶ月前に味わった悔しさと経験をこの大会にぶつける。目指すは3年ぶりの全国選手権出場だ。

比叡山も秋春に続き県内チームを寄せ付けず近畿大会に進出してきた。先に行われた春季近畿大会は初戦で報徳学園(兵庫)に2-1で惜敗した。昨年の夏はこの近畿大会1回戦で東山(京都)に延長15回の末敗退しているだけに、この試合にかける思いはひとしおだ。

試合は両チーム投手が不安定な立ち上がりを攻められる。

1回表、新宮は先頭がヒットで出塁、制球に苦しむ比叡山先発の山﨑から2人が四球を選ぶと、ショートゴロ、サードゴロの2本の内野ゴロであっさりと2点を先制する。

その裏、比叡山は先頭が四球で出塁、キャッチャーからの1塁への牽制球が暴投になり一走が一気に三塁まで進むと、3番柴崎のピッチャーゴロが新宮上久保の野選を誘い走者が生還。ノーヒットで1点を返す。

その後はなんとか持ち直した比叡山の山﨑と新宮の上久保。

新宮は5回表に一死満塁のチャンスを演出するが、あと一本が出ず追加点を上げることが出来ず。

比叡山は6回の守備から、前の打席で代打を送られた先発の山﨑に代わり背番号10の三上がマウンドに上ると、難しい試合展開での登板ながら、堂々の投球で新宮打線を抑える。

新宮は8回表にも2本のヒットなどで一死満塁とするも、スクイズを外され、またしてリードを広げることが出来ない。

新宮上久保にヒット2本に抑えられて比叡山は最終回の攻撃を迎える。一死後、3番の柴﨑がレフト前ヒットで出塁するとスチールで二塁に進む。ここで迎えた4番服部が左中間を豪快に破るタイムリースリーベースを放ち、比叡山が土壇場で同点に追いつく。なおも一死満塁のサヨナラのチャンスを作るが、ここは新宮が併殺プレーでなんとか凌ぎ、試合は延長に突入する。

新宮が途中登板の比叡山三上を捉えられないでいると、比叡山は11回裏、四球とヒットで二死ながら二、三塁とする。一人が還ればサヨナラの場面で打席には7番中塚。ここで新宮上久保の投球がキャッチャー前で弾む。これまで2年生エースを支えてきた田中礼でも、このボールを前に止めることが出来ず、無情にもボールが転がる間に三走がサヨナラのホームを踏みゲームセット。比叡山が昨年の夏は悔しくも敗退した近畿大会1回戦を突破し、3日の決勝に進んだ。

比叡山は6回から登板した2年生投手三上の救援が大きかった。9回の同点、そして延長11回サヨナラという劇的な展開を生んだ。

新宮は2度の追加点のチャンスに得点出来なかったことが命取りとなった。それまでなんとかピンチを凌いできた2年生エース上久保が最後に力尽きた。上久保を含め、今日の試合を戦った2年生メンバーを中心に、来年またこの舞台に帰ってくることができるか。期待したい。

1回戦(準決勝)天理(奈良) – 龍谷大平安(京都)

秋の近畿大会は準V、そして春の近畿大会は優勝。この1年、常に近畿地区のトップにあり続けてきた優勝候補筆頭の天理。エースで主将の大瀬の安定感あるピッチングから流れを作り、得点力のある打線で5年ぶりの全国選手権出場を決めることが出来るか。

5年ぶりに京都大会を制し、夏の近畿大会への出場を果たした龍谷大平安。過去22度の全国選手権出場、6回の全国制覇を誇る古豪も近年は全国の舞台から遠ざかっている。府大会で見せた試合巧者ぶりを近畿でも発揮し、13年ぶりの全国の舞台に返り咲くことができるか。

天理大瀬は立ち上がりから周囲の期待に応える投球を見せる。テンポよく龍谷大平安の各打者からアウトカウントを重ねていく。5回に味方のエラーで初めて走者を許すも、難なく後続を切り、龍谷大平安に全くチャンスを与えない完璧な投球を続ける。

龍谷大平安エースの古川も負けてはいない。しっかりと芯で捉え外野までボールを運ぶ天理打線を相手に、2回裏に2本のヒットで迎えたピンチも切り抜けると、5回まで天理打線をゼロに抑える。

試合は6回に動く。

6回裏の天理の攻撃。先頭の松本がセンター前に運び出塁、その後一死一、三塁とし4番水﨑がスクイズ。ここでピッチャー前に転がったボールを処理しようとする古川と捕手の関口が味方同士で交錯。弾いたボールが点々と転がる間に天理が先制のホームを踏む。続けてパスボールと7番新田のこの日3安打目となるレフト前タイムリーで、天理がこの回3点を奪うことに成功する。

3点を追う苦しい展開となった龍谷大平安。ここまで天理大瀬に完璧に抑えられていた打線は8回表、関口がチーム初安打を放つも後続が続かず。そして迎えた最終回。二死から代打岡嶋が意地のセンター前ヒットを放ち、逆転に望みを繋げる。しかし、二盗を狙った代走笹本を天理のキャッチャー長瀬が刺してゲームセット。被安打2四死球0と完璧な投球を見せた大瀬の活躍で、天理が5年ぶりの全国に向け、あすの決勝に進んだ。

龍谷大平安は6回のミスなどで与えた3点に泣いた。抜群の安定感を見せる天理大瀬を前に為す術なく敗戦。しかし、5年ぶりの京都府大会優勝と近年低調気味だった龍谷大平安というチームの流れをこの代が変えたのは確かだ。過去全国の舞台で躍動した古豪が明石に舞い戻る日も決して遠くはないだろう。

▽8/2 1回戦
新宮(和歌山) 2-3 比叡山(滋賀)(延長11回)
天理(奈良) 3-0 龍谷大平安(京都)

▽8/3 決勝
比叡山 – 天理

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