【観戦レポ】中京学院大中京(東海)- 登別明日(北海道) 第62回全国高校軟式野球選手権大会準決勝

レポート

第59回大会(2014)以来、3年ぶり8度目の全国制覇を狙う中京学院大中京は、ここまで、2年生エース・佐伯の好投が光る。140km/h台の直球を持つ本格派右腕は、予選から登板した6試合で無失点。打線も2回戦の仙台商戦では初回にいきなりたたみかけての一挙6得点。2点タイムリーを放った4番の岡田に期待がかかる。

登別明日のエース長大聖は、2試合で20奪三振と、ベスト4入りした投手の中では最多奪三振を記録している。2回戦ではコントロールに苦しみながらも、富山商打線を1失点の封じて、チームを初の準決勝へ導いた。北海道勢としては、51年ぶりとなる決勝進出を狙う。

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登別明日の先発のマウンドに上がったのは、ここまで2試合を投げたエースの長大聖ではなく、背番号3の鎌田だった。鎌田も昨夏の全国のマウンドを経験している。その鎌田、初回にいきなり一死1、2塁と得点圏に走者を背負うが、中京学院大中京4番の岡田を三振に切るなど、この回を無得点に抑える。

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中京学院大中京の先発は予選から無失点投球を続ける佐伯。1、2回と走者を出すが、危なげない投球。3回からはいよいよリズムに乗り、テンポよくアウトカウントを重ねる。

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初回以降の登別明日の鎌田は見事な投球。3回表に二死から四球で走者を出した以外は、完璧な投球で、5回までに中京学院大中京の打者二巡を1安打に封じると、6回からはエースの長大聖がマウンドを引き継ぐ。この回は一死2、3塁といきなりピンチを背負うが何とか無失点に抑える。

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登別明日は7回裏に2本のヒットで二死1、3塁をつくるが、8番長燎聖は投ゴロに倒れる。9回表、中京学院大中京は3番保木平がこの日3安打目をレフトへ放ち出塁すると、相手のエラーなどで無死2、3塁とし、先制のチャンスを迎える。

中京学院大中京にとってはこの試合最大のチャンスが到来。しかし、この場面で起こった一連のプレーに球場全体がどよめく。

長大聖は5番小倉を外の変化球で三振に取ると、捕手の鈴木は三走が飛び出したのを見逃さず、転送してタッチアウト。更に、慌てて帰塁する二走も二塁ベース上でアウトにし、トリプルプレーが成立。登別明日は全国選手権では26年ぶりとなるスーパープレーで、絶体絶命のピンチからの脱出に成功。試合はスコアレスのまま、延長戦に突入する。

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そして、11回表の中京学院大中京の攻撃。この日5回目の打席に立った1番内木がライト前ヒットで出塁。続く坪井がサードへ高く弾むゴロで内野安打とすると、途中からレフトの守備に入っていた大島の三塁線への絶妙な犠打がこれも内野安打となり、3連打で無死満塁とする。打席には4番の岡田。ここで長大聖の手元が狂い、投球は岡田の左脚に直撃。遂に中京学院大中京が押出死球で先制する。更に一死後、6番加納の一ゴロの間に2点目のホームインを決め、点差を更に広げる。

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我慢の末に待望の得点をもらった佐伯はその裏、一死から上口に安打を放たれるも、最後のバッターをライトフライに封じてゲームセット。中京学院大中京が延長11回の末、第59回大会(2014)以来となる、3年ぶりの決勝進出を決めた。

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前半は登別明日の鎌田にいいところが全くなかった中京学院大中京打線だったが、エースの長大聖がマウンドに上がると、徐々に走者は本塁へと近づいていった。9回にはまさかの三重殺でチャンスをふいにしたが、それでも自分たちの攻撃を貫き、先取点を引き込んだ。11回の坪井、大島の連続内野安打は中京軟式の真骨頂だった。

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昨夏の雪辱を果たし、初の4強入りを果たした登別明日は、全国選手権優勝7度の相手を最後まで苦しめた。エースに代わって先発のマウンドに立った鎌田は中京学院大中京打線を相手に最高の仕事をした。その仲間の好投に奮起したエースの長大聖は、前の試合の印象を払拭する投球を見せたが、11回の岡田に投じた1球に泣いた。

しかし、彼が9回に覚悟を決めて投じた小倉への外角の変化球と、そこから生まれた奇跡のトリプルプレーを、その場で立ち会った私たちは決して忘れないだろう。

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中京学院大中京
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登別明日

中)佐伯 – 岡田
登)鎌田、長大聖 – 鈴木

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