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【観戦レポ】富山商(北信越)vs 登別明日(北海道) 第62回全国高校軟式野球選手権大会2回戦

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9年ぶりに全国選手権出場の古豪・富山商。10年前の第52回大会(2007)では準優勝を果たした。当時就任2年目で決勝までチームを導いた大井監督は今季限りでの勇退を表明している。監督と1日でも長く野球を、とチームはひとつになっている。初戦は四国学院大香川西を1失点で抑えた主将の池田が、チームを10年ぶりのベスト4に導けるか。

出場3大会連続で初戦突破を果たした登別明日。昨夏のマウンドも経験したエース長大聖は186センチの長身から繰り出す直球を武器に、1回戦の玉島戦では2安打11奪三振と好投、初回に自らのバットで得点した1点を守り切った。昨夏の悔しさを経験した選手も多く残り、初の4強入りに闘志を燃やす。

登別明日のエースの調子が上がらない。

この日も先発のマウンドに上がった登別明日の長大聖だったが、1回戦の投球とうって変わり、制球が定まらない。初回に先頭を四球で出すと、パスボールでいきなり得点圏にランナーを背負う。この回はなんとか無得点で抑えるが、続く2回表、富山商は先頭の黒瀬が内野安打で出塁すると、二死2塁で9番の草島が左中間へタイムリーツーベースを放ち先制する。

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富山商先発の池田は立ち上がりからリラックスした雰囲気で、自分のピッチングを続ける。速球が走り、登別明日の打者から毎回三振を奪っていく。

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富山商は4回表に死球で出したランナーを盗塁などで進め、一死3塁をつくるが、スクイズを外されて追加点のチャンスを逃す。するとその裏、登別明日は先頭の竹内がレフト前ヒットで出塁。一死後に二盗を試みると、キャッチャーからの送球が逸れてセンターへ転がる間に一気に三塁へ。二死となり打席に立った長大聖がセンターへ弾き返して、同点のランナーが生還。初戦に続いて自らのバットで得点し、試合をふりだしに戻す。

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同点に追いつき、登別明日の長大聖もリズムを取り戻すかと思われたが、依然として苦しい投球が続いた。その後はお互い一度ずつ三塁まで走者を進めるも勝ち越し点を奪えないまま、試合は終盤へと向かう。8回裏、登別明日は一死から1番上口がセンターオーバーのスリーベースヒットを放ち、一気に勝ち越しのチャンスとすると、打席にはこの日2安打の竹内。池田から投じられた外の球を逆らわずに流すと、打球はレフト前に落ち、遂に登別明日が2-1と勝ち越しに成功する。

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最終回、この日初めてリードの展開でマウンドに上がった登別明日の長大聖は一死から走者を許すも、三盗を狙った走者を、キャッチャーの鈴木が落ちついて刺し、ゲームセット。登別明日が全国選手権出場3度目にして、初の4強入りを果たした。

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被安打6、四死球6と、試合を通して苦しんだ登別明日のエースがチームの歴史を塗り替えた。調子が上がらない中でも、自慢の速球を生かした投球で何度となく訪れたピンチを凌ぎ、チームの逆転を待ち続けた。ポーカー・フェイスのエースは8強の壁として与えられた試練にしっかりと向き合い、そして、超えていった。

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富山商の、大井監督と戦う最後の全国の冒険は、2回戦で幕を閉じた。先発の池田は6安打を浴びながらも、与えた四死球はゼロと、エースとしての役割を十分に果たした。攻撃ではチーム全体で試みた盗塁が7(内、2つは失敗)など、積極性を随所でみせたが、4強入りには一歩及ばなかった。

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富山商
010 000 000丨1
000 100 01X丨2
登別明日

(富)池田 – 梶
(登)長大聖 – 鈴木

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