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【作新学院vs河南】河南、遂に掴んだ全国初勝利 山岸が散発5安打で作新封じる 第63回全国高校軟式野球選手権大会 1回戦

レポート
2018/08/24
明石トーカロ球場
第63回全国高校軟式野球選手権大会 1回戦

前夜に近畿地方を通過した台風20号による、強烈な吹き返しの風が縦横無尽に球場を吹き荒れる中、ことしの開幕戦は行われた。

試合は初回から動く。1回裏、作新学院は2番半田がセンターにヒットを放つと、塔本が後逸する間に一気に二塁へ。二死1、3塁となっったところで作新学院はダブルスチールを仕掛ける。捕手からの送球を二塁手がカットしてホームに送るも送球が大きく逸れ、三走が生還。作新学院が相手のミスを誘い、初回に先制点をあげる。

先制点をもらった作新学院の金子。毎回走者を背負う乗り切れない投球も我慢の投球を続ける。

一方、初回に失点を許した河南の2年生エース山岸だったが、以後は落ち着きを取り戻す。4回裏、2本のヒットで二死1、3塁とピンチを迎えるがここは追加点を与えず、味方の援護を待つ。

すると河南は5回表、先頭の途中出場の岡が粘って7球目をレフト前に弾くと、二死3塁で1番花園が三遊間をしぶとく破って、三走が同点のホームイン。さらにスチールで二死2塁にすると、続く前田がライトに弾いて、二走が一気にホームに生還。河南がこの回、3本のヒットに足を絡ませ、逆転に成功する。

逆転に成功した河南だったが、山岸に疲れが見え始めた6回にこの試合最大のピンチを迎える。一死から作新学院八木澤にヒットを与えると、山岸の連続暴投で3塁に進塁を許す。しかし4番福田陽の場面で三走の八木澤が飛び出して憤死。同点のピンチにも山岸 – 仲村のバッテリーは落ち着いていた。

逆転後も毎回走者を出して作新学院を追い詰めた河南だったが、追加点がなかなか奪えずに、粘投する山岸を援護できない。しかし球威が落ちてきた山岸は、終盤は作新打線を淡々と打たせてとり、いよいよ全国初勝利を懸けた最終回のマウンドへ。

二死からヒットで同点のランナーを許すが、5番菊池をこの日初めての三振で切り、ゲームセット。終始、表情を崩さなかった山岸がマウンド上で固く拳を握る。歴史を動かした2年生エースの、短く、しかし力のこもった雄叫びが、強風吹き荒れる明石の空に響いた。

河南
000 020 000│2
100 000 000│1
作新学院

河)山岸 – 仲村
作)金子、福田陽 – 野沢、福田裕

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河南は初回の失点で2年前の嫌な記憶がよぎった。あの時もミスで失点し、そのまま全国大会の荒波に飲み込まれた。しかし、この日は違った。2回以降は冷静さを取り戻した山岸に打線も応えた。「どこからでも点が取れる」、正にことしの河南野球を体現した逆転劇だった。後半に山岸が崩れそうになったときも、周りは2年生エースをしっかりと支えた。

作新学院にとっては厳しい1年だった。苦しんだ上で手にした30度目の全国選手権だったが、16代表の中で最も先に全国の舞台から姿を消すことになった。逆転を許したあとの金子は、苦しいながらも河南に追加点を与えなかったが、攻撃陣が奮起できなかった。6回裏、一死3塁の憤死が響いた。

暴風が両投手を苦しめた。立っているのもやっとの強い風が試合を通して吹き続け試合が何度も止まり、両投手ともリズムを掴むのに苦労した。選手にはいいコンディションで試合をして欲しかったが、これも勝負の世界。厳しい条件の中で勝ち抜いた河南は、4強入りを目指して2回戦能代と篠山鳳鳴の勝者との一戦に臨む。

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